■ビオトープ『野生生物の育成場所』
多様な野生生物が生息している場所では自然の物質循環がスムーズに行われています。このような空間は、人間にとっても快適だということが認識されてきました。ここに信楽焼独特の素材を生かし、野生生物の生息の場所を確保していきたい。
日本六古窯の一つで1300年の伝統を誇る土もの(陶器)の産地です。信楽焼の特色は、他産地では見られないような大ものや袋ものが作られている点で、かつて全国生産の8割を占めた火鉢をはじめ、甕・ガーデン用品・置物、そして信楽焼の代名詞とも言える「たぬき」が大変有名です。昭和26年、昭和天皇行幸の折、沿道に旗をもった陶製狸が並んでお迎えし、お気に召されたことが報道されて大流行となりました。
信楽の『大もの』を可能にしているのは、高い可塑性を持った極めて良質の陶土です。 その粘性は大物作りに適し、かつ小物作りにおいても細工しやすいという特性があります。そこに、釉薬を使わず灰によって自然にうわぐすりをかけたようになる『自然釉(ビ−ドロ釉)』、表面がほの赤く色づく『火色』、 薪の灰に埋まる部分が黒褐色になる『焦げ』といった表情が加わり、“わびさび”の趣を今に伝えています。
信楽焼は、耐火性に優れ、多種多様の造形が可能なことから、あらゆるニーズを満たし「信楽焼は全国区」といわれるほどの広い販路も特色の一つです。 土と炎が織りなす芸術として、土そのものの素朴で暖かい情感が、掌を通して伝わってきます。
■産地/滋賀県甲賀市信楽町
■伝統的工芸品として昭和50年にその指定を受けています。